医療のIT化で普及する病院情報システムとは

データ化された情報は病院情報システム(Hospital Information System)で管理されます。病院情報システムとは、病院の業務を支援するコンピュータシステムの総称で、医療のIT化に欠かせません。

病院情報システムの主な機能に「オーダリング・システム」というものがあります。採血やレントゲン検査結果による医師の指示や、薬剤に対する投与日数・投与数量などの情報共有を目的としています。各部門の医師や他スタッフとの院内でのやり取り以外に、院外で行うオンライン診療などと連携させて情報を共有しあうことが可能です。また、診療予約の管理なども管理することができ、人員の作業負担削減に繋がります。

「電子カルテ」も病院情報システムの一つです。オーダリング・システムの技術を活用したもので、医療従事者が必要とする治療歴などを情報交換し、スムーズに治療を行えるため、作業効率が向上します。また、データ化することにより、紛失や破損による人的・自然災害などから情報を守ることになり、情報セキュリティ強化に役立ちます。

厚生労働省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」の調査結果によると、平成29年の電子カルテの普及率は「一般病院46.7%、一般診療所41.6%」、オーダリング・システムの普及率は「一般病院55.6%」となっています。多くの医療機関でIT化が進んでいますが、業務の効率化など導入するメリットと、それにかかるコストを天秤に掛けた時にメリットが上回らないと判断され、普及が遅れるといった現状もあるようです。慢性的に人手が不足している医療業界において、作業効率化につながる病院情報システムの更なる普及が求められます。